東京高等裁判所 昭和61年(ラ)631号 決定
不動産引渡命令の申立人の要件は、申立人が不動産執行手続において確定した売却許可決定の名宛人であって、かつ代金を納付した者であること(本件申立人株式会社森田工務店が右要件を満していることは一件記録により明らかである。)で足り、買受人の引渡命令申立権は執行法上の権利であり、執行手続とは無関係に譲渡、処分をすることは許されず、また買受人が代金納付後不動産を他に譲渡して、譲受人に対するその所有権移転登記手続を経た場合でも、買受人は引渡命令申立権を失うものではない。かく解しても不動産引渡命令の相手方となるものは、当然買受人に対して競売不動産を引渡す義務を負うのであるから、相手方の利益が不当に害されるものではないし、また執行手続上直ちに悪質な競売ブローカーの輩出を助成するものとも解し難い。
(柳川 三宅 林)